light through house

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熊本市内の御領町に位置する敷地は、住宅街の中でも自動車の交通量がかなり多い交差路に面した角地となっている。
南側が前面道路で、道路を隔てた向かい側には2階建ての木質アパートの外部廊下があるため、室内が見下ろされる不安があった。
また、敷地は道路より80cm上がっており、引きをつくりにくい敷地条件においてアプローチからのレベル差をどのように解消するかという問題があった。

クライアントはソウル系のレコードを多数収集されており、ミキシング機器及びレコードプレイヤーの設置や作業スペースなどが求められていた。
そこで、南側からのプライバシーを守りながら光を取り入れる為にリビングの南側(道路側)に中2階のオーディオルームを配置することで、プライバシー上の問題の解決を図った。
また、水まわりを2階に上げ、子供室を1階リビングスペースに面してレイアウトすることにより、共働きでお忙しいご夫婦のために、子供に目が届きやすいプランとしている。

建物は、そのようなプログラムを4つの箱にグループ化し、それらを上下左右にずらすことによって光や風が通り抜ける構成としている。
従ってこの建物は、基本的に南北方向に開口部を有し、東西方向は閉じた形態となっている。
それは、交通量が多い西側道路に対し閉じるとともに、東側隣地に対しても同様で、周辺環境に対応している。

前面道路側に飛び出した1つめの箱の中には、ポーチ、自転車置き場、エントランスホール、トイレが納めてあり、道路側のレベルに合わせ、敷地より下がった形になっている。
レベルが上がった前面の庭に面する2つめの箱は、リビングと吹き抜け及びオーディオルーム、2階通路で構成されており、中2階のオーディオルームに合わせ、他の2つの箱より天井が低く取られている。
南北方向に奥行きのある3つめの箱は、1階に子供室、バックヤード、2階に水まわり、トイレなどが入り、天井高さが少し低く抑えられている。
4つめの箱は、1階ダイニング、キッチン、2階主寝室、クローゼットとなっており、1つめの箱を除いた3つの箱の壁は、リビング、ダイニング、キッチンというワンルーム空間の中で絡み合い、2つの箱の壁に挟まれたスペースが廊下スペースの空間となるなど、構成の結果によって形成された空間がインテリアの要素となっている。

従ってこの住宅は、周辺環境への対応と、クライアントのライフスタイルに合わせたプランが構成に組み込まれた、整合性の高い住宅となっている。

敷地面積:163.83㎡(49.5坪)
延床面積:119.77㎡(36.2坪)
竣工:2013年
施工:株式会社溝江建設
構造設計:黒岩構造設計事ム所
Photo:八代写真事務所