ELEMENTAL HOUSE

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福岡市東区の博多湾を遠望できる高台にある計画敷地の東面は
抜け道として比較的交通量が多い坂道に面し、
北側(海側)と南側(山側)の高低差が2.5m程ある傾斜地となっている。
通常、住宅を計画するにあたり駐車スペースをどのように配置させるかは
全体計画においての重要なポイントとなる。

この敷地においては、前面の道路(東側)に対し直交させず並列に配置することで
進入スペースと2台分の駐車スペースを確保しつつ、奥行を抑えた。
建物は、この駐車スペースに対し並列に、4つのゾーンにスペースが分けられ配置されている。

1.駐車スペース
2.アプローチスペース
3.エントランス、主寝室、サニタリー
4.階段、ホール、家事室、デッキスペース
5.リビング、ダイニング、キッチン

これらのグループに片流れの大屋根を架けた構成となっている。
2階建の在来工法による木造住宅であるが、2階部分以外の大屋根下は全て吹抜けとなっており、
登り梁にすることで、中間に水平方向の梁がない空間となっている。

そして各ゾーン間に空間の流動性を持たせるために、大屋根を支える構造体としての壁を縦長壁(ロングウォール)とし
2のゾーンから5のゾーンへ向かってロングウォールの配置が密から疎になるように計画した。
又、ロングウォールに挟まれた間は全て床から天井まで取られた開口部になっており、
採光・通風・出入り口それぞれの機能に応じた開口形式が嵌め込まれている。

従ってこの建物は、ロングウォールというエレメンタルなものによる構成が空間と形態の表現となっている。
縦長の開口スペースから射し込む自然光は、通常の住空間では体験できない奥行を持ち、生活空間の中に光と影を交錯させる。
クライアントの意向を尊重しながらも、常に何らかの目的を持った住宅を造っていきたいと願っている。

敷地面積  356.94㎡(108.0T)
延床面積  151.96㎡( 45.7T)
竣  工  2014年
施  工  甲斐建設
構造設計  黒岩構造設計事ム所
Photo    Koji Okamoto