市町村合併によってできた嘉麻市は、飯塚市より南へ下った福岡県の中央に位置し、
田園が拡がるのどかな地域である。
山のすそ野の実家の一角にある納屋を取り壊し、長男家族の住宅を建てることになった。
広い敷地の中において里道に挟まれたこの一角は建てられる範囲が限られており、
結果的に片流れの箱のヴォリューム左端(西側)を斜めに切り取った形態になっている。
隣接する実家を含め周辺の住宅は入母屋の形状で黒い瓦と白壁の対比となっており、この住宅においては片流れの単純でモダンな形態を周辺環境になじませる為に銀ねず色の金属屋根材で建物を取り巻き、その切断面のみ白を使用して(白の)ヴォリューム比を抑えるとともに両端部の面にカラ松のパネリング材をボーダー状に貼ることで時の経過に伴う経年変化も自然に進行するよう配慮している。
内部構成は単純な片流れの大きな箱によって囲まれた一室空間で廊下のないプランとなっている。
大きな吹抜けを通し1,2階を一体化させ構造体としての梁を露出させるとともに梁間の天井材に木毛セメント板を使用することでカントリーハウスとしてのラフ感をあえて表現している。
東側に大きく開き隣地緑を借景として取り込んだ開口部と西側からの西日を考慮し絞り込まれた開口部はワンルームの室内において対比的な風景を形成している。
都会的モダンさと田園的なものとの融合を計った住宅である。
敷地面積 270.33㎡(81.8T)
延床面積 109.50㎡(33.1T)
竣 工 2014年
施 工 株式会社 千葉工務店
構造設計 黒岩構造設計事ム所
Photo 八代写真事務所