2007.11.14
独立
設計事務所のスタッフとして日夜、研鑽を積まれておられる方たちへ
今回の日経アーキテクチャーは、独立を志向している人への
特集が組まれています。
このデータでは、ゼネコンの設計も含め独立を考えている人は、
6割近くいるそうです。意外と多いと思いました。
昔は、独立してもどのようにして仕事を取るのかとても難しく、
住宅の設計を依頼する施主を見つけることがほとんどわからない時代でした。
私は独立して13年目ですが、5年前までは住宅の設計は年に1~2件くらいしか
ありませんでした。
それに比べれば、今の人は本当に恵まれていると思います。
インターネットを含めた様々な情報媒体があるので仕事のチャンスが拡がっています。
ただ、ホームページを作ってもある程度の実績がないと仕事にはつながりにくく、
それまでどうやって実績をつくっていくかが、
独立してうまくいくかどうかのポイントだと思います。
私の場合、独立前の30才くらいからコーディネーターの学校の講師や、
マナースクールの講師をしていましたので人脈ができ、
38才での独立後、仕事の紹介があり大変助かりました。
独立を志向する人は、その前から人とのつながりを築いて
いける社交性を持っていないと難しいかもしれません。
独立の時期は、人それぞれに事情があると思いますが、設計事務所に入って
5年が目安で、遅くなるほど様々なしがらみが出てきて身軽さがなくなっていきます。
結婚も二人で働いてがんばっていけるのなら、ネットワークも2倍になり
かえって前向きにとらえることもできます。
これからのことをいろいろと考えて目的を持った上で動くことが必要です。
ところで、独立の特集以外に、先日亡くなられた黒川紀章氏の追想として
磯崎 新氏の文章が載せられています。黒川さんの事をもっとも客観的に捉えられて
おり、さすがだと思いました。是非、一読されることをお勧めします!
余談ですが、今から28年前、私が大阪事務所にいる頃、
黒川さんの大阪事務所にいる大学の先輩と飲むことがありました。
黒川事務所では、計画について必ず上京して黒川さんに確認しなければ
ならないらしく、先輩が担当していた住宅の庭の飛び石の配置をわからないだろう
ということで桂離宮のものにして見せたところ、
黒川さんが「君、桂離宮の飛び石はここが間違っているよ!」と指摘され
思わず冷や汗が出たという話を聞いたことがありました。
黒川さんでもしっかりと日本建築を学んでおられることに感心した思い出です。