2008.10.04
SOLIDとAIRRY
前回、ご紹介しました「新しい住まいの設計48周年記念特集号」において
取り上げられた48人の建築家を
SOLID(コンクリート打ち放しなどの素材としての重さがベースで空間が形作られている建物) としてしっかり系
AIRRY(軽やかで浮遊感が ある建物)
としての軽やか系
NOSTALGIC(日本の伝統的空間に基づく深みやしっとり感をもった建物)
としての懐かし系
FUTURISTIC(従来の価値観に基づかない新しい空間の提案がされている建物)
としての近未来系
4つのマトリックスに分け傾向についての区分けがされていました。
雑誌社に勝手に区分けされこころよく思っていない建築家もいらっしゃるかもしれませんが、
ボクは、AIRRY且つNOSTALGICで
AIRRYの中でよりAIRRYに近く(SOLIDからもっとも遠く)、
NOSTARUGICの中ではよりFUTURISTICに近く位置されており、
改めて、よくできていると自分でも納得してしまいました。
というのも、うちのスタッフには常々、これまで建築は西洋建築の連綿とした
歴史を引き継ぐSOLIDが近代以降の現代においても主流だけれども、
これからの新しい建築は、AIRRYが主流になると言ってきたからです。
SOLIDにおける空間表現は、ほとんど出尽くしており、どこかで見たような感覚でしか
ないのに対し、AIRRYは、まだまだこれからたくさんの表現方法が模索できる可能性が
あると思っています。
今年の夏に、藤本壮介さんがモクバン(木造バンガロー)コンぺで当選し、
熊本に完成した建物は、35cm角のSOLIDとしての木材をレゴブロックのような
ピースとして積み木のように積み上げて作ってあり、木材というAIRRYな材料を
SOLIDとして提案したコンセプトが目新しく明快でした。
また、採用する材料がコンクリートの場合、否応なく最初にSOLIDありきになりますが、
それを、隈研吾さんはポーラスな形で積み上げることでAIRRYなコンセプトを
新しい表現でされていますし、伊東豊雄さんは有機的な曲面によってAIRRYな
SORIDの表現領域の拡大を試みていると思います。
では、木造にしかできないもの、
木造の持つAIRRYさをどのような形で新しく表現していくのかも含め、
SOLIDとAIRRYという捉え方は、とても興味深く、
計画の段階での認識の有無の必要性を強く感じました。