2009.06.07
大川へ
大川へ行くことになったのは、当アトリエの良きブレーンである前田建具の前田氏が
大川の材木店の自宅の建具を製作されており、その設計者が大阪市立大教授の
竹原義二氏ということで、以前から現場の見学を切望していた結果によるものです。
竹原氏は、新建築の住宅特集に頻繁に取り上げられている重鎮で
九州で実物を目にできる機会などまったくないため、とても楽しみにしていました。
事前に平面プランなどは前田氏から見せていただいていたのですが、
現物の印象は全く予想を裏切るものであり、正直言って衝撃的です。
正方形に近い2層のプランに対し、片流れの大屋根を架け、その下に1階から2階に
連続する外部空間が入れ込まれ、内部と外部が一体となった空間になっています。
材木店の自宅ということもあり、支給されたムクの木材を自在に多種多様に使い
それがコンセプトになっていると思いました。
自然をミニマムに抽象化した人工ではなく、雑木林のように多様に見せることが
自然なのだということが強く伝わってきました。
ただ、材料やデザインは多様でも納まりは、極めてミニマルであり
内部建具の枠はほとんどなく、建て方前に柱や梁に切り込んだ上で組まれており
その精度には驚かされます。
また、外部に面した壁の一部も間柱がそのまま化粧として表現されていたり、
前田氏が製作した外部木製建具は全て隠し框ではめ殺しに見えるようになっています。
ドアの開閉によって感知するマグネットセンサーも前田氏の提案で溝が切り込まれた梁
の中に同面に埋め込まれており、豪胆さと精緻さを持つ建物になっています。
とにかく完成するまでにまだ少し時間がありそうですので、施主の方にお願いして
福岡の建築家の仲間たちと見学するツアーを組もうと思っています。
前田さんありがとうございました。また、よろしくお願い致します。