2010.06.06
水なき空
きょう日曜日の朝刊に、毎日新聞の音楽担当記者である
梅津時比古著の「フェルメールの楽器」に対する書評が載せられていました。
梅津さんと言えば、このブログでも度々ご紹介したボクの大好きな音楽評論家です。
その書評で紹介されている「音のかなたへ」というクラシック音楽のコラムについて
春および水をテーマにしたものがきわめて多いという指摘がされていました。
そこでは、春秋という言葉をめぐる思索のなかで、
紀貫之の和歌が引用されていたそうです。
「さくら花 ちりぬる風の なごりには
水なき空に 波ぞ立ちける 」
あーすごくいい!!言葉によって頭の中にイメージが風の音とともに浮かびます。
ボクは50代になってもこの歌のことを全く知りませんでしたが
この時代の人たちの感性が日本人として素晴らしいものであることが十分理解できます。
この感覚こそ日本人が忘れているものであるように思うととともに
自然の捉え方が非常にモダンでもあると感じるのです。
この時代の人たちの自然に対する感性をもっと知ることで
現代に繋がるヒントがたくさん潜んでいるような思いを持ちました。
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