2010.12.06
窓と間戸
スタッフのフジヤマが日曜日に天神のジュンク堂書店で購入した
東工大の塚本さんが書かれた窓と内部空間に対する関係についての本は
世界中の建築から調査された写真と寸法が載せられており興味深く見せてもらいました。
本来、西洋の組石造の文化圏においての住宅で
開口部は壁量を確保するという構造上の問題により巾が取れないため、
縦長の形状になっており、
またセキュリティの意味からか腰壁のある窓が一般的で、
そこから窓辺の文化やファブリックによる開口部の装飾様式が
洗練されていったと思います。
イギリス(チューダー、バロック、ジョージアン、リージェンシー、ヴィクトリアン、
アーツアンドクラフト)、フランス(ルイ14、15、16世、アンピール、ネオクラシック、
アールヌーボー)など様々な建築様式に対応した室内装飾において開口部は重要でした。
それに対し日本では、本来、「窓」というのは明治以降の呼び名でそれまでは
「間戸」と書かれていたということを何かで読んだことがあります。
柱と柱の間に立てた戸のことをマドと呼んでいた訳で、
日本人にとって開口部とは
柱と梁によって構成された木構造の架構の間のものとして
常に自然とつながるようなものであり、そのため掃き出しになっています。
したがって窓と間戸は西洋の腰窓文化と日本の掃き出し文化との比較になります。
でも茶室などは違うではないかと言われるかもしれませんが
ボクは以前もこのブログで書きましたが、そもそも壁を刳り貫いて開口部(窓)を
ランダムに配置したような千利休による待庵を代表とする草庵風茶室は日本的ではなく
韓国の影響を受けたものではないかと思っています。
そのような日本人の開口部に対する意識において
西洋の住宅の腰窓を中心とした窓辺の文化と心地良さについて
もう一度確認をしてみる上では
この塚本さんが書かれた本は、住宅を設計するものにとって参考になるかもしれません。