2011.11.30
大分県立美術館公開プレゼ見聞
きょうは、大分市のiichiko総合文化センターで行われました
大分県立美術館プロポーザルコンペの公開プレゼに傍聴者として行って来ました。
設計競技においては、
通常、設計案を選ぶコンペ方式と設計者を選ぶプロポーザル方式があり、
今回の大分県立美術館の設計競技は、プロポーザル方式としながら
個人設計事務所や実績が少ない設計事務所でも
参加できるように敷居を下げた公募条件において行われました。
1次審査により152者の公募案から書類審査によって選ばれた設計者は6名。
原 正二郎氏(株)環境・建築研究所(京都府)
遠藤秀平 氏 (株)遠藤秀平建築研究所(大阪府)
坂 茂 氏 (株)坂茂建築設計(東京都)
早草睦恵 氏 (株)セルスペース(東京都)
清原昌洋 氏 (株)清松平設計共同体
西田 司 氏 (株)ヘルム・オンデザインパートナーズ設計共同体(神奈川)
発表はくじ引きが行われ、下記の順となりました。
1、遠藤氏
2、原氏
3、清原氏
休憩
4、西田氏
5、坂氏
6、早草氏
事前の作戦では、やはり1番バッターというのは不利であり、最後も厳しく
4番がいいということでしたが、くじ運に恵まれ清松平は3番となりました。
トップバッターの遠藤さんは最近では公共建築も手掛けられるようになり
実績もこのメンバーの中でもある方だと思いましたが、
最初ということもあり時間内にプレゼが終わりませんでした。
コンセプトは大分らしい居場所を作るということで
3つのコンセプトを揚げられました。
1、成長する—-使い方が増える
2、四季を感じる—-外とつながる
3、五感の刺激-----いろいろな大きさの空間
筒の集積による構成により街とのつながりを作っていくというものでした。
2番目の原さんも3つのコンセプトを揚げられ、
1、美術館そのものが公園
2、すべてが展示空間
3、進化に対応する美術館
以上をベースに2階でつながるペデストリアンデッキから
2階部分に5つの箱の展示スペースを点在させながら、
庭園とミュージアムストリートを挟んでかなり具体的提案についての説明がありました。
前半の2案ともプロポーザルとはいえ、
展示方式を含めた技術的なことを含め詳細な説明があり、
そこまで詰める必要がいるのだろうかと若干の疑問。
もしくは、コンセプトが弱いためそういうことでカバーしているようにも思う—-。
いよいよ3番目は清松平。
ひらかれた美術館をテーマに12区画に分けられた展示スペースを地下1階に配置し、
それをアートポッドという四角錘状のシェル構造で
3層吹き抜けの展示空間及び構造体として
地上2階まで立ち上げていくことにより
粗密関係による公共空間のグラデーションを形成し、
交流と美術の接点を作ろうという提案。
休憩を挟み4番目は、
西田司さんとパートナーを組まれたお父さまヘルムの勝彦さんによるプレゼ。
カジュアルな美術館をコンセプトにまちに開かれたまちなか美術館を提案。
縁側空間としての美術館の開かれた仕掛けと奥座敷としての展示スペースをベースに
地域のなかで活動していく仕組みづくりの提案もありました。
5番目は真打登場というべきか、ポンピドー美術館を手掛けた実績を強調しながらの
坂茂氏のプレゼ。経験を踏まえた極めて現実的なアピール。
常設の展示スペース及び県民ギャラリーは3階に割り切ってあげ
企画展示スペースを1階に設け、フレキシブルな展示方法の提案と
開かれた美術館としてのガラスシャッターの提案による実績と
環境制御による省エネルギーに関する極めて技術的提案。
最後は、早草さん。
冒頭に3.11の震災を踏まえ、
公共は施設機能ともに市民の避難拠点であるべきとの説明があり
断面計画において想定しうる津波高さに対する施設の部門別レイアウトが示されました。
避難スペースを兼ねた積層するテラスの提案や
居間的展示空間とホワイトキューブと呼ぶ展示空間との対比とテラスとの組み合わせなどを
アピールされながら大分らしさのシンボルとしての竹素材についての様々な提案が
ありました。
以上、どの案においても開かれた美術館が大きなテーマになってはいますが
展示及び収蔵スペースを抱えながらの開き方については、
なかなか難しいところがあって開き方が中途半端になるなか
清松平の開き方のコンセプトは構成的であり、坂さんは技術的という
この2案が明快であるように思いました-----—-。
更なるコメントについては、いろいろあるのですが
明日10時に結果が発表されるそうで
明日のブログで述べさせて下さい。