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2012.04.21

高級とは?

現在進行中物件の施主とのやり取りで、
これって高級感がありますよねという質問がありました。
一瞬、戸惑いました------。

(これまで施主からこのようにストレートに尋ねられたことがなく
確かにこれほどお金をかけるのであれば、出す側としてはそれに見合うものを
求められるのは当然なのですが-----—。)
こういう場合、空間や生活シーンを通して豊かさが感じられるような建物ですよと
言っても、答えになっていないような気がしました。
つまり施主が求める高級とはあくまで物質的なものだと思われ、
それは物質的な広さでもなく、物質的材料感が問題のように思いました。

その後、事務所でその件についてスタッフと話していると
モダンデザインにおいては、要素を極力省きながら空間を表現していくことであり
壁の一部に石を使ったり、窓にゴージャスなカーテンを下げたり
照明にシャンデリアを使用したりすることはあまりしません。
(最近の建築では意図的に装飾的な要素を取り入れることでミニマムとは違う方向性を
模索しているものもあり、一概に論じることはできませんが-----–)

それで施主が求める「高級」をどのようにバランス良くまとめているのか考えてみると、
まずは、ミニマリズムの大御所ミース・ファンデル・ローエの
バルセロナパヴィリオンにおいては
壁の材料に大理石を使用し、柱はクロームメッキのピカピカした柱で
ミニマムな空間にも関わらず高級感が表現されています。


バルセロナパヴィリオン、1929年のデザインなんてとても思えません。

現代のミニマリズムの建築家として有名な小川晋一氏の住宅は
壁、天井の要素が極めてミニマムに作られているものの
床にはトラバーチンが使用されている建物をよく見かけます。

また有馬裕之さんが設計された住宅にも真っ白な大理石が貼られているものがあります。

さらには安藤忠雄氏の住宅では内部もコンクリート打ち放しのストイックな仕上げにおいて
床材に大きな巾の無垢材と小巾の無垢材を交互に貼り分けるなど
どれも床材によってバランスが取られているように思いました。
ただ、安藤さんの場合、コンクリート打ち放しによる表現が
緻密な監理によって高級感を獲得するまで高められているのかもしれませんが。


安藤忠雄氏が設計した住宅

そう言えばNKSアーキテクツ(末廣さん)の青葉台の家も
床が大理石だったことを思い出しました。
(オープンハウスで見て、どうしてここが大理石なのかと思っていたのですが-----–。)

したがって、モダンデザインにおける「高級」への対処方法は床材に
高級感のある材料を使用することだろうと思ったのでした-----—。

なーーんだオオイシさん!知らなかったの??と言われるかもしれませんが-----—。

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