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7月27日にNKSアーキテクツの末廣さんより見学の案内を頂き
スタッフとともに熊本の壺川の住宅を見てきました。

外観は平屋建てのコンクリート壁により矩形に囲まれた建物ですが
内部はすべての部屋の平面が5面体から6面体で計画され、
ハチの巣のような大胆なプランとなっておりその交叉部に
120度に曲げた厚さ6mmの3つの鉄板を内部の心材を挟み溶接された柱が
上部のプレート状の梁にカーブを描きながら接続され屋根の垂直荷重を支えているという
計画的にも構造的にも非常に斬新な住宅でした。

梁とつながった柱群により部屋の領域が規定されながらも
欄間部を通し空間がワンルームのように連続しています。
屋根にトップライトが設置された部屋は梁から吊るされたデッキプレートによる2重天井で
太陽の直射光をバウンドさせ拡散させる装置となっており
部屋によって高さが微妙に変えられています。

説明によると柱上部のカーブは構造的に必要なものではないということのようで
たぶん部屋の領域性を明確にするための面状としての工夫なのかもしれません。
ボクにはそれがゴシック建築のアーチのように感じられたのですが-----。

平面計画における多様な均一性やたくさんの柱が立ち並ぶ空間の複雑性など
これまでのNKSの住宅とはだいぶ趣を異にした建物となっており
担当の渕上さんの説明を聞いているうちに
あれっ?もしかして渕上さんといえば、2009年の九大卒業制作発表会において
「オノマトぺ」をコンセプトにしていたあの娘ではと思い出しました。
他の発表者に対しユニークだったので記憶に残っていました。
昨年4月の台湾旅行にもスタッフとして来られており、
その時はそういうことを全く思い出さなかったのですが
アトリエに戻り、福岡デザインレビュー2009を確認してみると
そこにも出品されていて間違っていませんでした。

「オノマトペ」とはフランス語で擬音語、擬態語を指し、オノマトペを使うことで
多様な空間をイメージさせ感覚的に居場所を選ぶ建築を目指すというもので
たとえば「きらきら」、「ふわふわ」、「もこもこ」、「ぎざぎざ」、「つるつる」、「くしゃくしゃ」など
その擬音語に合わせた多様な断面をもつ住戸の集合体がプレゼンテーション
されていました。

したがってこの住宅はこれまでのNKSの住宅とは違う印象を受け
それは担当者の個性がなんらかのかたちでこれまで以上に反映されているような
思いを抱いたのですが-----–。

大胆な構成のなか、中庭周り、外部出入り口まわり、置き型エアコンの吹き出しまわり
などのラフなデザインと繊細なディテールなどが混在しており
発想はさすがで非常に面白いと思いましたが、詰め方によってはもっといろんな展開が
できたかもしれないと いう思いを抱きました。
でも住宅建築をこのような前衛として作ることができるというのは羨ましく
NKSアーキテクツの仕事ぶりにはいつも刺激を受けています。
ありがとうございました。

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