2015.08.17
亀倉雄策のデザイン
東京オリンピックのエンブレムが発表され、盗作問題を含め議論されています。
今回のエンブレムデザインを見て
デザインに関わっている人たちの感想はどうなんでしょうか?
1964年に行われた東京オリンピックの亀倉雄策氏によるエンブレムデザインが
あまりにも秀逸で素晴らしいため、あのデザインを知っているものとして
どうしても比較してしまい、今回のデザインを安っぽく感じてしまいます。
亀倉雄策氏によるエンブレム、シンプルで力強く美しく感じます。
佐野研二郎氏によるエンブレム。
偉大な亀倉氏に尊敬の念を抱いてのデザインということですが
大きな構成として上部にシンボルマークを配し、次に五輪マークと西暦を入れ替え
円のシンボルマークの軌跡を表しているのも
亀倉氏のデザインを踏襲していることが感じられます。
亀倉氏に対するリスペクトと言われていますが、
亀倉デザインをベースに手を加えるということはいいのだろうかと思ってしまいます。
もうすでにこの段階でこのデザイナーの本質が見え隠れしているようにも思えます。
またグラフィックデザインにおいて書体(ゴシック、イタリック、ローマン等)の選択は
非常に重要で新しい書体を作ることもデザインの一部となっていますが
このエンブレムのTOKYOUの書体がTOTOと同じように見え
新しさもかっこ良さもボクには感じられません。
さらに西暦を丸い書体に変えていますがこれはどういう意味なんでしょうか。
どうみても51年前の1964年のデザインを越えておらず、
現在の日本は、むかしのフジヤマ、ゲイシャというイメージから大きく脱皮して
世界中からクールジャパンとしてかっこ良く思われているにも関わらず
過去の亀倉氏の呪縛から解き放たれた新たな価値観の提案となっていないことが
日本人として悔しい気持ちになります。
ちなみにネットではこの誘致用エンブレムの方がずっといいと言われていますが
ボクもそう思います。