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日曜日のきょう、大分県立美術館で開催されているイサム・ノグチ展に
行って来ました。
坂茂氏設計の大分県立美術館はコンペ時のプレゼにおいては、
これまで坂氏が表現されてきたものを使用しての提案であったため、
あまり新鮮味を感じていませんでしたが
出来上がったものを観ると、
直方体のニュートラルな形態ながら地方美術館としての展示・企画
におけるフレキシビリティを兼ね備え、
オープンスペースの外部とのつながりにおいても
開放感のあるものになっていました。
また、隅々に至るまでディーテルが大変洗練されており流石だと思いました。

これまで美術館と言えばアカデミックでオーソドックスな建物としての
イメージが定着していましたが
金沢21世紀美術館や国立新美術館辺りから芸術としての現代性を捉えた
新しい美術館としてのイメージチェンジが進んでいるように思います。
本来、アートとは過去を踏まえ今をどのように表現するのかが本質であり
器として建物が現代性をベースにするのは当たり前のことで
これまでは企画する側の保守性が問題だったのかもしれません。
ところでイサム・ノグチ氏は1904年に生まれ
彫刻のみならず舞台装置から屋外庭園などのランドスケープ、
和紙を使用した照明器具、椅子、机のデザイン等
巾広い分野に渡り才能を発揮した方で
日本とアメリカという二つの異なる文化の間で
ハーフとしての宿命を負い苦悩、模索をしながら
創作を続けたマルチアーチストです。
展覧会での氏の系譜を読んで凄いと思うのは
アメリカでは建築家 ルイス・カーン、バックミンスター・フラー、
フランク・ロイド・ライト、SOMのゴードン・バンシャフト、
デザイナー ジョージ・ネルソン、舞踏家マーサ・グラハム、医学者 野口英世
日本では建築家 谷口吉郎、丹下健三、アントニン・レーモンド
華道家 勅使河原蒼風、芸術家 岡本太郎、流 政之
マルチアーチスト 北大路 魯山人、音楽家 武満徹、美術評論家 滝口修造等々
20世紀を代表する各界の著名人たちとの交流です。

展覧会では初期のブランクーシの時代から戦後の日本を中心とした活動の中での
作品を年代順に鑑賞することができます。
特に後半の日本での創作においては、
弥生時代以降の埴輪等に影響を受けバナキュラー化しており
コルビジェのインド・シャンディガールでの彫刻表現や岡本太郎、ヘンリー・ムーアなどと
時代的共通性を感じます。
そうしたなかイェール大学ベイニッケ図書館の沈床庭園は素晴らしいと思いました。
図書館は大理石を薄くスライスしたものを外壁に使用した
SOMの代表作として有名であり、大学時代に学校の授業で知りました。

        (SOM ゴードン・バンシャフト設計のベイニッケ図書館)
 



(ベイニッケ図書館前庭にある沈床庭園)


       (同図書館内部、大理石の模様が外光により写し出されています)



展覧会においてさらに興味を持ったのは平面としての2次元的なものを
折り曲げることで3次元としての立体的作品にしたもので
これは周囲を回りながら鑑賞するとマッシブなものよりも
見え方が非常に変化に富んでおり
建築表現としてボリューム的なものより面的なものを志向している
ボクの個人的な好みの理由がわかったような気がしました。

イサム・ノグチ展は来年1月18日までです。


      



“大分県美のイサム・ノグチ展” への4件の返信

  1. SECRET: 0
    PASS:
    あ〜行かれたのね。
    11月に高松のイサム・ノグチ庭園美術館を訪ねて、大分であっているのも知ってはいたんだけど、中々チャンスがなくって。
    湯布院に隈研吾さん設計の新しい美術館が出来た事だし、両方に行きたいな。
    大石君の着眼点を読むと参考になるな、ありがとう。

  2. SECRET: 0
    PASS:
    樋口さんの情報が早いのは建築家のアトリエで仕事をされている息子さんの影響?
    息子さんからすれば建築に理解のある母親で本当に嬉しく思われているんじゃないかなあ。

  3. SECRET: 0
    PASS:
    周りの友人に美術等に興味がある人が多くて。
    次男は昨年、独立して事務所を構えたの。どこかで大石君にもお世話になるかもしれないのでよしくね。

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