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先月起きた、パリのノートルダム大聖堂の火災は、石造りにも関わらず

どうしてあんなに燃えるのかと思われた方も多いと思います。

 

パルテノン神殿もそうですが柱や梁は石でも屋根は木造のため、

遺構は木造の屋根部分がない状態で残っています。

 

ノートルダム大聖堂は中世に発達したゴシック様式によるものですが

元々、教会建築は上から見ると十字型になったバシリカ形式というプランが

基本になっており中央部の奥までのスペースも主廊と両サイドの側廊に分かれ、

十字の直交する袖廊との交差部に尖塔が立つのが基本形です。

(ガウディのサクラダファミリアも外観は一見特異な形状ですが

平面プランにおいては、このバシリカ形式を踏襲しており、

十字型の交差部に最終的には巨大な高さの塔が立つことになっています。)

 

ノートルダムは、正面部に二本の大きな双塔が立ち上がる特徴的な形態で

丹下健三氏が設計した東京都庁舎の外観は

この双塔からの影響を受けているとも言われています。

 

ノートルダムの内部空間は石造による交差ヴォールトにリブを付けた天井で

たぶんこの天井裏に屋根を支える木製の梁材が掛けられていたのだろうと思います。

したがって今回の火災ではこの屋根裏スペースが十字型の交差部に立っている

中央の尖塔も含め焼失しています。

 

ノートルダム大聖堂はゴシック建築初期の傑作と言われていますが、

同じシテ島内に建つサント・シャペルは、石造でありながら

ゴシック建築が目指した神の空間を極限までに大きく取られた

ステンドグラスによって表現された教会で内部空間に入ると

彩色された光の洪水に圧倒されます。

ゴシックの技術が到達した頂点の教会と言っていいかもしれません。

 

ノートルダム大聖堂の火災は人類にとって不幸なことですが、

前述したように焼失部は限られ、日本の木造建築物のように

全焼ではないためきっと2024年のパリオリンピックまでには

再興できると思います。

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