2020.02.09
西福間の境界、オープンハウス
当アトリエのOBであるノットイコールの有吉君より連絡があり
竣工した住宅のオープンハウスを行うので見に来て欲しいということで行って来ました。
住宅プロデュースのフォルツア物件では、有吉くんにとって
設計コンペで勝ち取った初めての住宅だそうです。
(だから見て欲しいと思ったのかな?)
確かうさぎを飼われている施主だったので「うさぎちゃんハウス」かな?と思っていたら
「西福間の境界」といういかにも建築的テーマの家
建物は通常、敷地内にあっても敷地境界から50cm以上離さなければいけないという
民法上の規制がありますが
この敷地は四周がすべて道路に面しているため、
民法上の制約がなく、ぎりぎりまで建物を建てることも可能です。
そこでこの建物は境界の在り方がテーマになっているようでした。
境界の取扱いについてはこれまで建築雑誌に掲載される様々なプロジェクトにおいても
提案がされているテーマだと思います。
当アトリエも色々なパターンで提案を行ってきました。
1、境界としての塀の建築化 HOUSE O、Paralell
2、建築の塀(壁としての)化 LEAF HOUSE
それは結果的にはコートハウスのグループに入ります。
また、それ以外に境界を曖昧にすることで外と繋がっていくことや表層としての境界の捉え方、
見えない境界など様々なことが考えられます。
そうして考えた場合、
境界についての新しい解釈や提案等何らかの戦略が必要のような気がします。
この建物においてはうさぎを飼うスペースの小上がり、
駐車スペース、物干し場の壁(耐震壁)が境界沿いの三方向へ張り出し、
建築の一部が塀化されています。
庭を囲む木製塀とは敷地ラインを共有しながらもあくまで建築と塀との差異化(説明によれば)が表現されています。
ただ差異化はコストによる問題の結果なのかどうかはわかりません。
また、塀と建築のトップラインとしてのジグザグは、内部からの見え方とプライバシーによるものだとしても切れ込み方が強過ぎるようにも感じます。
塀の色味は個人的には黒又はこげ茶の方が良く、もっと細い格子状が合うと思うのですが—–。
最近、若い人の捉え方として住宅を普通っぽく?見せる在り方で2階部分の屋根の掛け方(切妻)がアイコン化しているように感じますが
この建物の場合、敷地外周を取り巻く「カベ」との関係性で捉えた方が良かったのではと思いました。
(北側正面、左側奥に駐車スペース、手前も含め3台駐車が施主からの要望とのこと)
車を動かせばご近所さんと土間を通して繋がるようにもなっています。
中のスペースからの外部に対する抜け感はかなり感じました。ここに樹々がさらに植えられると
居心地が良さそうです。
オープンハウスにたまたま居合わせた矢作事務所のOBである岡田、平島、京野女史に
「この階段1段目と2段目のスリットが有吉君らしいねえ!そうだこういうこだわりを{アリヨシする}とみんなで言おう!!」と調子に乗って言うと
みんなが一斉にここ{アリヨシしてます!}
と指さす方を見ると——
ん?なに?——「ランマ!ランマでーす!」
ひゃあー!正面玄関側天井と手前リビング側天井段差面にカ・ガ・ミ—–が!!
内部インテリアは有吉君の細部に至るこだわりがいっぱい詰まった住宅で
とても使い勝手を考慮されたプランでした。