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壁がないという純粋な柱と梁だけの構造がこの拝殿ではより清冽な雰囲気を造り出して

います。床の仕上げは杉柾の赤身だけを選んで敷かれてあり非常に美しい仕上がりです。

柱と梁の受け方がミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸を彷彿

(F邸の方は鉄骨のH鋼柱が外に出してあります)とさせます。

この拝殿がミニマムに美しく見えるのも柱、梁の接合部と床の取り合いのディテールによる

ものが大きいと思います。

 

(柱、梁接合部)

 

 

見学会にはクライアントである神主の山内氏も立ち会われ企画段階でのお話を伺うことが

できました。

旧神殿は大社造りの妻入りであったそうですが、今回の遷宮に際し神明造りの方が

より現代に合ったシンプルな形態である為、全国的に八幡宮では例がない中

氏子の方々への説得をかなり時間をかけ行われたそうです。

したがって八幡宮では唯一の神明造りの神社となります。

 

神殿は専門の方に頼まれたそうで伊勢の本宮と同一形状ながら相似的に少し大きいそうです。

ただ神明造りの一番象徴的な棟持柱については伊勢神宮のものより細いように思います。

また伊勢は茅葺ですがこちらは法的に規制がある為、銅板葺きになっています。

 

 

 

神殿と拝殿との取り合い

 

 

 

こうやって見上げると棟持柱も1本物としては立派なものですが伊勢がいかに大きいか

後で写真を見て気付きました。

 

 

それにしてもこれだけのものをまとめられた二宮氏は、12年前に福岡に戻って来られ

これまでこちらの建築仲間内では全く無名の存在でしたが

今回、はじめてお花見の会と見学会で2度ほどお話を伺い

とても誠実、丁寧な対応に非常に好感を持ちました。

素晴らしい力量を持たれた方で今後、九州の建築界を引っ張って行かれる建築家として

楽しみにしています。