2023.09.24
これからの公共建築の在り方
日曜日は通常家でだらだらと1日を過ごしていまいがちですが
今日は心機一転、心を入れ替え、JIAからの情報で知った佐賀県鹿島市に出来た
古谷氏のNASCA設計による鹿島市民文化ホールの見学会に行って来ました。
2年前に完成した当アトリエ設計のTHE Lがある武雄からは近く、
福岡からは高速を使って1時間半ぐらいの場所です。
構成はきわめてシンプルで楕円状の外郭内にフライタワーと観客席を伴った直方体の
コアを配置し外周部を回る白いリング状の壁はコアである直方体から持ち出されています。
さらにその外周部に避難経路を含めたスロープ状のペデストリアンデッキが巡らされています。
エントランスから入って飛び込んでくるのが客席とクローズされていないこの写真の手前の
スペースでここは可動間仕切り(ホール正面のたてリブが入った打ち放し壁の裏側に収納されています)によって客席があるホールと切り離すこともできる展示スペースだそうで
限られた面積的制約の中で多目的な使用方法に対応できるシームレスな
構成になっています。
したがってホールでありながら自然光が入る気持ち良いスペースになっています。
(上部開口部には電動の遮光スクリーンが入っています)
舞台と袖の多目的スペースが繋がった不思議な空間
客席は2階も含め750席ありここにも一般的なホールでは見かけない自然光が入るトップライトが取られています。上部8角形のトップライトを中心にフライタワーの上部造形は渦巻き状に
8分割されコンクリート打ち放し仕上げでズレながら組み合わされています。
劇場といえば天井部のデザインにこだわりがちですがこのように構造を露出させても
自然光が入るのであればもっと自由な使い方が可能になると思います。
鹿島市は嬉野市の隣にある有明海に面した人口3万人の小都市で今回の市民文化ホールは
これまでの箱物建築とは違い、身の丈に合わせた多目的性を追求した建物で
非常に好感の持てる建築だと思いました。