2013.08.23
オーケストラと建築現場
昨夜、妻と食事での会話で
彼女は現在、来月のOBオーケストラによる年一度の定期演奏会に向け
プロの指揮者に来て頂き、練習の追い込みとなっているようですが
オーケストラの練習において指揮者がいるといないとでは
雲泥の差だということでした。
音楽の場合、楽譜がありそれに基づき演奏を行うのですが
指揮者による演奏曲の解釈に基づく音の強弱や間合い、スピード、
その他もろもろによって全くイメージの異なるものになるようで
当たり前のことですが、指揮者の存在というものがとても大きく
建築もそうでしょうと聞かれました。
建築は楽譜に替わるものとして設計図面がありますが
楽譜と違い、もっと細かい指示がされています。
したがって現場において勝手な解釈で施工されると大変ですし
設計した人間とは違う人が、設計者の意向を無視して現場で変えることもできません。
(そこには現場では知りえない施主との打ち合わせによる項目が
無数に散りばめてあり、すべての寸法、仕上げは理由によって成り立っているからです。)
オーケストラの指揮者のように各パートごとの専門家(大工さん、設備、サッシ、左官、塗装、
板金、造作家具、造園など)の方たちとコンセプトに沿って一つの目標に向かい
まとまって目指していくところは似ています。
ちなみに施工者側の現場監督はコンサートマスターということになります。
現場監督という呼び方も何だかダサいので
コンストラクションマスターと言い換えればかっこいい!
音楽における楽譜やオーケストラは時間というものの表現にすべての意志が
込められているのに対し、建築は空間に対しすべての意志が込められているのだと
思います。
もちろん素晴らしい音楽も建築も聴覚、視覚という領域を越え
時間、空間を感じさせるものです。
芸術の領域は抽象化の行為を通し、五感を呼び覚ますものだと思います。