2014.04.20
台中メトロポリタンオペラハウス現場を巡る台湾現代建築視察 2日目 その4
1995年の阪神・淡路大震災後、仮設教会堂として建てられた紙の教会は
1999年に台湾中部で起こったマグニチュード7.6の台湾大震災によって
壊滅した村の町おこし(現地ではそのように見えました)として
新聖堂の建設に伴い、2006年に台湾の当地へ移設されたものです。
バスを降りると施設までの途中に露店が並んでいました。
鍋の中には煮たまご。
こちらのトマト?は形が日本のものとは違います。
左奥に教会が見えます。
教会のうしろから回り込む形でアプローチします。うしろから見ると外周部に
鉄骨フレームのように見える横引き樋が水平に回っており、サイドと裏側の一部に
たて樋が下されているのがわかります。
建物の中心に紙管でできた列柱を楕円状に並べその周囲を鉄骨の細い柱で
取り巻いている簡潔な構成になっています。
紙管による列柱は上部を合板のようなもので固定され、外周部を取り巻く鉄骨柱は
ブレース(鉄筋筋違)によって固められています。
鉄骨柱はたぶん80×40mmの角パイプ二つを組み合わせボルトで両サイドより
留められているのがわかります。
鉄骨柱と紙管との間の屋根下地は木造でコーナーは火打ち梁で補強さています。
また、通常の梁のような存在を全く感じさせない構造になっています。
それは中心にある楕円状のフレームが構造的コアになって
外周部の細い柱のフレームをフラフラしないように支えているため、
鉄骨柱は頭つなぎ程度の部材で済んでいるのだと思います。
写真は裏側の内部でしみが付いているもとの紙管の状態を確認できます。
このような状態のためか正面側の紙管の列注には残念ながらクロスが巻かれてありました。
この建物を見ていると単純化されたディテールによる仮設でありながら
デザイン的に配慮されておりとても勉強になりました。
また、この建物以外に食事をする場所として仮設的建物があり
それはたぶん台湾の方が設計されたのかもしれませんが
鉄骨をもっと簡単に造れる方法として参考になりました。
50×100角のスチールパイプを6段重ね(高さが300mm)で溶接したものを
ジグザグに組んで梁フレームと柱を一体化しています。
ジグザグにすることで梁材がブレースの役割を果たし、それに母屋材(屋根の下地)を
架けた単純な構成です。
ツアー2日目はコンクリートの量感を中心とした作品に始まり
最後は鉄骨の持つ軽快な仮設性に終わるという形になり充実した1日でした。
チャーターしたバスが日月湖へ行く途中の坂でエンジンに支障をきたしたようで
急いで代わりのバスを30分待つことに-----—-。
続く----------。