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2016.01.31

建築の力

今日、日曜日は晴れ間が拡がり好条件に恵まれたなか吉野ヶ里のパノラマハウスの
オープンハウスを開くことができました。

昨日、設計事務所と施主検査を終えたばかりで手直し等は来週中に行われれる
予定で完全な状態ではありませんでしたがお天気のお陰で
この敷地環境を生かした建物として観て頂けたのではと思っています。

27日に行った遠賀のrippleもそうですが与えられた敷地環境において
建築が持つ力によってその環境をより以上のものへと変えてくれるのではと
感じることができたのは、自分のなかでの自信に繋がるような気がしています。

本日のオープンハウス向けに作った案内文に書いたコンセプトについてご紹介。

PANORAMA HOUSE

■ 与えられた風景を活かすためのコアとそれを取り巻くリングによる
  関係性の構築

計画敷地は佐賀県吉野ヶ里町に位置し、水田が拡がる田園地帯の一画にある。
敷地北側からは背振山地を遠望することができる。

恵まれた環境において、人はその良さを日々の生活の中で当たり前のものだと
判断し見過ごしてしまいがちである。
この敷地に初めて立った時、この風景を活かしたいと思うとともに
クライアントにも強い思いがあり大きな後押しとなった。

この風景を切り取るあるいは取り入れる為に単純な構成で表現できないか
検討を行った。それは、この風景をパノラマ状に水平方向の拡がりとして
切り取るというもの。

その結果、構造的なコアを中心として周囲にリング状の壁が取り巻き、
壁はすべてコアから持ち出した梁によって支えられ、全く柱のない開口部を通し
風景をパノラマ状に眺めることができればと考えた。
プランは910mmモジュールによるグリッドによって規則化され
構造上の木造梁型を空間に露出させている。

コアとその周囲を取り巻くリングとの間(奥行壁芯で1.82m)のスペースは、
内部のような外部、外部のような内部としての中間領域を形成している。

コア部分はプライバシーを確保した内部空間であり、コアとリングと風景による
関係性の構築が大きなテーマになっている。

コア部は黒く染色された杉板の壁によって囲まれた2層の箱で
1階には主寝室、WIC、フリースペースが入り
2階はリビング、ダイニング、パントリー、サニタリー

外周部のリングと黒い箱との間には
1階がポーチ、エントランス、ホール、階段、トイレ、ベランダ、自転車置場、
中庭
2階がキッチン。ユーティリティ、テラス、中庭となっている。

コアとリングの狭間は、風景を取り入れるために外部と非常にオープンな関係を
作り出そうとしている。そのためリング上の開口ディテールに検討を重ねた。

日々の生活の中でそれぞれの空間への行き来により
常に周囲に拡がる風景が無意識に沈殿し
それは時間の経過とともに何気ないシーンとなって
思い出の中に蓄積していく------。

 

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