2008.05.10
東京ステイ1日目
東京での1日目は、羽田より直行で、神奈川県の厚木にある神奈川工科大学の
KAITE工房に行ってきました。
設計は、若手の建築家で建築として今回が初の実作となる石上純也です。
建物は2000㎡の鉄骨の平屋建てで、構造上の柱を鉛直力を持たせるものと
水平力を持たせるものに分け、極限まで細くして森の木立のように乱立させています。
乱立と書きましたが、構造計算上と空間ボリュームの使用上の使い勝手を考慮した上で
綿密な配慮のもとで配置されています。
柱の疎密度が結果的に自然のゆらぎのようであり、人工的な空間であるにも関わらず
気持ちよくナチュラルです。
外周部はすべてはめ殺しのガラスで緑色にならない透明性の高いガラスが使用されて
おり、雨に濡れたガラスはなまめかしく、妙に色っぽく感じました。
排水のための樋はとられておらず、1/75の勾配で流れてくる雨だれが、滝のように
ガラスを伝わるのも風情があります。
屋根は1350ミリピッチのグリッド状に梁が組まれており、柱とは対照的に
均一でプレーンに表現されています。
夏の暑さの問題があるかもしれませんが、ユニバーサルスペースの均一性を
持ちながらも退屈さを克服する複雑性を持った新しい建築だと思いました。
その後、時間がないので駅の立ち食いそば屋で、東京でしか食べれない
コロッケそばを食べましたが、スタッフの笠置は、気持ち悪がっていました!
ボクはおいしいと思うのですが-----—-。
次は、多摩美術大学の図書館に向かいました。設計は伊東豊雄さんです。
事前に去年行って来たスタッフのフジヤマからとてもいいと聞いていたのですが
ボクもこれまで見てきた伊東さんの建物の中でも一番好きな建築だと思いました。
建物は、二層の構造的アーチが全ての空間を形作っています。
繰り返されるコンクリートアーチの基部は、平面グリッドを曲線状にゆがめた交点に
配置されており、結果的に複雑性をもたらしています。
内部の特別に作られた本棚は、高さを1300ミリに抑えてあり、圧迫感がありません。
照明や家具も含めたデザインが空間にとてもマッチしており、ここも均一なのに複雑で
人工的なのにナチュラルという前の石上さんの建物と根底において全く同じような
印象を持ちました。
二つの作品は、今後の建築を予感させるような素晴らしい建物です。
さらに最後は、乃木坂のギャラリー間に行き、スーパーポテトの杉本貴志による
二つの茶室展を見ました。
一つ目は、鉄の廃材で作った鉄の茶室
二つ目は水の茶室
ゆっくりとステンレスワイヤー上を落ちていく水は、そのスピードから雪も連想させ
ますが、ボクは何故かこれまで見てきた二つの建物以上に人工的に感じました。
触ってみると(怒られましたが)水ではなく、粘りがある油でした。
水ではあんなにゆっくりと落ちることはなく、そこの感覚がとても人工的に感じたのかも
しれません。
とにかく充実した面白い一日でした!