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先週の日曜日、3年前から進めていた地行プロジェクトの地鎮祭がありました。

道路間口4.2m、奥の間口3.9m、奥行き13m、約15坪の変形敷地に旅館を建てるという難しいプロジェクト。

施工は「のあ建築設計」—(基本的には設計・施工の会社です)

 

場所が商業地域で間口も狭いということもあり当初、隣地境界線より30cm外壁を台形状に

セットバックさせ建物奥にロフト付きの宿泊室を2層積み重ね、中央部階段スペースを挟んで道路側のリビングスペースとスキップフロアとした木造2階建てのプランを提案していました。

 

クライアントにはとても気に入って頂いたのですが

建物の資産価値を高めるために木造ではなく

鉄骨造3階建てをプレハブメーカーに依頼されることに。

 

その後、メーカー側が隣地所有者に30cmセットバックについての確認をしたところ

民法上の50cmセットバックを主張され

プロジェクトは頓挫することに——。

 

それから2年ほど過ぎた今年、

クライアントからアトリエに連絡があり、当初提案していた木造2階建てを50cmセットバックした修正案で再びやることに。

 

そうであれば敷地内ぎりぎりの計画で全く逃げができないプランのためもう一度、

建物について問題ないかどうか法的確認が必要と思い再度民間審査機関に事前相談へ行くことに。

 

建物の用途が「住宅」と違い「旅館」の場合、様々な規制をクリアしていかねばならず、

さらに消防局と保健所へ。

ヨーシ!準備万端!実施設計へそして見積もりへ!

 

施工業者さんからの見積もりの減額調整を経て確認申請を作成し提出したところ—–

業者さんから連絡が—–「オオイシさん!この物件は中高層建築物と同じ扱いで1ヶ月間、

敷地に看板を立て半径15m以内の周囲に対して建物の内容についての説明義務がありますよ」

へッ!そ、そうですかあ—–ヒャー大変!!—-と思ってたら施工業者さんの方から経験があるので

やってあげましょう!と言われひとまず安心。

(結果的には説明に1ヶ月以上かかり大変だったと思います、いつ、どこで、どういう方法で誰に何を説明したのか住所から氏名、時間等各々一覧表にして書類を市へ提出)

 

今度は確認申請の審査機関からメールが!

「この物件は無窓の居室扱いになると下地、仕上げを不燃にしなければならず、木造では無理です」

へッ?旅館の宿泊室には建築基準法も旅館業法も採光に対する基準がないため問題ないと思っていたところ実はそうではなく、無窓の居室扱いをクリアするためには部屋の面積の1/20以上の開口部が必要とのこと。

なんだ!なんだ!やっぱり制限あるじゃん!!じゃー開口部取ればいいじゃん!—-と安易に思いきや——

採光のための開口部面積は隣地との距離とその上部の建物天端からの距離に応じた係数をかけて

算定しなければならず——

隣地境界から50cmしか離していないこととロフト付きの宿泊室を2層積み上げているため

建物高さが実質3階建てで—-1階宿泊室の採光がく、苦しい—–。

 

何とかそれもクリアしてヨーシ!!と思っていると—

施工業者さんからまた連絡が!

「オオイシさん!!この建物の回り階段は市の福祉条例に抵触している可能性がありますよ」

へッ!!こんな小さな建物でも旅館という用途の場合、

福祉条例を満たす必要があります。

確かに回り階段は微妙な判断でヤバい!!

いそいで市の建築審査課の一画にある福祉条例の窓口に行き相談すると——-。

この建物が一棟貸しであるなら不特定多数の利用ではない為、外部ポーチ及びエントランス巾及び段差までが対象で内部は対象ではないということに。

 

そうやっていくつもの規制をすったもんだの末クリア!!ようやく地鎮祭に!!

 

 

3年前に浮かんだ天使のように能天気で奇跡の直観力は、

実はぎりぎりで成立できる案でした——–

我ながら凄いというか怖いというか——–。

 

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