2022.05.22
海辺の風景
今年は連休中も珍しく雨が降らず、連休後はしばらく天気が崩れましたが
福岡ではまた晴れの日が続いています。
これまでは海からの風もしばらく少し肌寒い感じでしたが
最近はようやく気持ち良い風になってきました。
昨年の誕生日に妻からもらったFit bit(健康管理トラッカー—–追跡用装置)
以前使用していたのが2年半ほどで壊れ、2年間使用していませんでしたが
誕生日プレゼントをきっかけにまた着用。
1日の歩数や睡眠内容等の確認などチェックをするようになりました。
人間関係はいい加減かもしれませんが
本来まじめな方なので数値目標を定めるととても気になり
目標に向かって体調を整えるようになりました。
そこで天気が良いと最近、よくウォーキングを行っています。
住んでいる場所が海に近い為、ウォーキングコースは百道浜の海岸沿いまで
歩くようにしています。
海辺の風景はだいぶにぎやかになってきました。ビーチバレーをしている若者たち、
犬の散歩をしている人、砂浜に海水着を着て寝そべっている女性、ラジカセでラップ調の
音楽をかけている東南アジアの人、ベンチに腰掛けお弁当を食べているカップル
ランニングをしている人等など様々な人たちがみんな別のことをして
この時間を楽しんでいるのが面白い。
みなさん!コロナ過ではありますが、家に閉じこもらずお弁当を作って
目的なしで海岸の風景を楽しまれませんか。
2022.05.17
旅の余談
福岡から子供たち夫婦がいる東京への夫婦旅。
それは小津安二郎監督の「東京物語」を連想しました。
笠智衆演じる「周吉」と東山千栄子演ずる「とみ」が
尾道から子供たちがいる東京へ旅行する物語。
映画の中の子供たちの年齢から察するに二人は70代半ばぐらいでしょうか。
ところが笠智衆の実年齢は48才、東山千栄子は63才ということで
笠智はかなりの老け役をこなしていることがわかります。
小津の映画は家族の崩壊が形式的な会話を通した関係性(構図)の中で
叙情的に描かれておりとても好きな監督ですが
家族が最終的には崩壊していくとしてもその過程は決して悲観的なものではなく
子供たちが結婚し伴侶を迎えることで
家族の関係性がより豊かに膨らむものでもあると思うボクは
幸せ者かもしれません。
生涯独身を通した小津監督も原節子と一緒になり家族を持ってれば
作風が変わったかもしれません。
2022.05.15
鎌倉・白河の旅 3日目 その2
内部は塔状のコンクリート打ち放し部が3層になっており
1階がポーチ、エントランス、サニタリー、トイレ、ボイラー室、階段
2階は和室、宿泊室、階段、3階に2段ベッドのある宿泊スペース及び倉庫
そして2階に木造で持ち出されたスペースがLDK、外部テラスの構成で
延床面積87.9㎡(26.6坪)のコンパクトな広さです。
外部テラスからみたLDK
1階から上がるとこの景色が拡がります。キッチン回りは排気フードも含め全て
建築工事による造作で製作されています。
窓外の手摺は景色の邪魔とならないようにかなり低めの高さに抑えられています。
LDKからコンクリートボックス内にある和室開口部を見たアングルで開口下部のガラリ内に
床置きエアコンが設置されています。
手前にさりげなく置かれているこのパーソナルチェアとフットスツールのセットは
田中氏夫妻が経営するバニラ所有の北欧プレミアム家具
こちらのチェアもプレミアムな一品
宮脇事務所の元スタッフで著名な建築家である椎名英三氏が見学に来られ
背面にある雨戸は当初、格子戸だったとの指摘を受けたそうです。
2階和室は南面の外部テラスとリビングに面しそれぞれに開口部が設けられています。
押し入れを上げたのは床の間を取る為ではなく、寝るスペースの確保かもしれません。
3階に取られたロフト状の宿泊スペース、ここへは壁に垂直に取り付けられた
はしごで上がります。2段ベッドが方向を変えて組み合わせられており
下部をうまく押し入れとして納めてあります。
宮脇檀38歳の作品で独立後10年目、ローコストで切り詰めるところを心得た
作り慣れた感じでもあり建物が造られた時代の雰囲気を感じ取ることができました。
田中夫妻が運営する会社の研修施設は同じ敷地内に絶妙な距離感と向きで
配置されています。
地元で活躍されている建築家の方に頼まれたそうでプランを末広がりとすることで
前面からの大きさを抑えヴィラ福村邸に対して目立たないようにしているそうです。
スタッフのための研修スペース
談話スペース(北欧家具で統一されています)
和室入口
ここで暖かいコーヒーを頂きしばらく歓談
今回の保存に至る経緯を詳しくお聞きしました。
印象的だったのは、自分たちの持ち物としてではなく次につなげていくために
預かっているという姿勢で素晴らしいと思いました。
今後の運用方法については試行錯誤しながら見つけていかれると思います。
さて次は彼女の運転で宇都宮へ
当初、餃子好きのボクのスケジュールはお昼の食事として
宇都宮餃子を2軒はしごする予定でしたが
時間が足らなくなった為、田中家の行きつけの中華料理屋で餃子を食べ
その後、vanillaのお店を見せてもらうことに。
午後より雨が降り出し、外観の写真が取れず残念でしたが、
元々銀行の支店 だったところを買い取り、彼女が全てデザインし家具のショールームに
改装したそうです。左手に見える階段は改装後、新規で設置したもの。
正面は支店の1階の天井高さが高かったのを利用しロフトとし
展示用の椅子が並べられています。
右手前には金庫室があります。
金庫室は当初撤去の予定だったそうですが、コンクリートの壁厚さが半端ではなく
相当な費用が発生することから急遽変更し
チャールズ・イームズ夫妻のメモリアルルームとして活用されています。
元金庫室の内部
このリニューアルは元々あったものが彼女のセンスにより別の用途として
随所に再利用されており非常に面白いショールームでした。
とにかくとても謙虚、謙遜してさりげなく話されていましたが
ご主人との二人三脚でここまで会社を大きくし、
経営とデザインと主婦業をこなしてきた彼女を当アトリエの元スタッフとして
誇りに思えとても嬉しい気持ちでいっぱいになりました。
その後、宇都宮駅まで送ってもらい新幹線で東京へ。
午後7時20分発の最終便で福岡へ帰りました。
二泊三日の駆け足旅でしたが最後まで密度が高く
とても充実した面白い三日間でした。
2022.05.05
鎌倉・白河の旅 3日目 その1
鎌倉・白河の旅 最終日(17日、月)
午前9時ごろ元スタッフの田中(旧姓岩佐)さんに迎えに来ていただき
彼女の車で宮脇檀氏設計のヴィラ福村邸に向かいました。
田中さんはアトリエ最初のスタッフで草創期を支えてくれた大変優秀な女性でした。
お互いに喜怒哀楽が大きく喧嘩もたくさんしましたが
彼女の愛情あふれるフォローで密度の高い仕事ができ
今では戦友としての懐かしい思い出とともに里帰り時などは定期的に
アトリエに寄ってくれています。
延岡出身ですが知り合いの紹介で会津若松ご出身のご主人と出会われ
郡山でハーマンミラーやイームズなどミッドセンチュリーの家具販売を行う会社を起業、
当初はネットを中心とされながら、
現在は郡山と宇都宮にインテリアショップも展開されています。
福岡で言えば規模は違いますがBO CONCEPT、3bポッターズ、ウィークス H.L.D
などを運営されている長坂夫妻と同じような方向性だと思います。
そんな田中さんですが当初、郡山と宇都宮の中間地点に会社の人間が集まれる
研修施設の場を探していたところ、中間地点である那須塩原の那須パーキングエリア近くに
宮脇檀氏が設計したヴィラ福村邸が売りに出されていることを知ったとのこと。
ご主人は宮脇さんのことは知らなかったらしく、
彼女は当アトリエに在籍していたことでその名前を聞き驚くとともに
その価値を認めたうえで残していくお手伝いをしたいと考えたそうです。
契約時には千葉まで出向き、売り主の福村氏より当時の貴重なお話等を聞かれたとのこと。
人間のつながりとは不思議なもので
元スタッフだった田中さんが郡山に嫁ぎ——そこで以前から夢だったインテリアショップを開き成功を納め——-宮脇檀氏設計の別荘の保存運動に関わるなど
改めて毎日の小さな時間の積み上げというものは
予期しない結果を生み出す始まりを秘めていることに感動します。
ヴィラは1974年に 竣工。RC造3階建て+木造の混構造です。
700坪の敷地の自然に対峙するような極めて強い幾何学的形態で建っています。
コンクリートは自然との対峙と防御も意味しながら
別荘としての自然との親和性として2階部分に木造の箱が下から持ち出され
支えられています。
50年近くが経ち 、引き渡された時点では木造の先端部が下がった為か支柱が
取りつけられていたそうで原型に戻すために箱下の持ち出し部を補強し
柱が外されています。
エントランス正面、50年代のブルータリズムを彷彿させるような荒々しいストイックな立面
右奥に見える黒い平屋建ての建物が敷地内に新たに建てた田中さんの会社の研修施設。
あとで説明しますが正面の木製の扉は玄関戸ではなく門扉になっています。
全体のストイックな構成に対し木造部は梁の構成がそのまま表現され、
面と線との対比を生み出しています。
コンクリートと木造部の取り合い部が鉄板によって補強されています。
当初、屋根は鉄板葺きであったのを瓦葺きに変更されており、
ここは現況のままになっています。
正面門扉は両サイドの壁に納められるようになっており右は玄関、左はボイラー室
内部につづく————-
2022.04.30
鎌倉・白河の旅 2日目 その3
那須高原に入ると落葉広葉樹林が続く。
九州では常緑樹の方が圧倒的に多いと思いますが
植生の違いに驚かされます。あとから調べてみると͡コナラが大半を占めているとのこと。
会食の場(石心)はそんな大量の落ち葉が足元に敷き詰められている
落葉樹林のなかにありました。
福岡から遥々やってきた我々夫婦のためにこのような場をセッティングして頂き
本当にありがたく思います。
お料理も洋風蕎麦懐石のような新鮮野菜を使用した洗練されたもので
おじいさまやおばあさまに話題を振りながら美味しく頂きました。
今回の旅の最大目的であった次男お嫁さん実家との顔合わせ、
長男お嫁さん実家の祖父母様への挨拶を無事終え、安堵しました。
2時間ほどの食事の後、
旅の疲れを癒すために2日目の最後は温泉宿でゆっくりする予定ですが
チェックインである5時までに時間があるため途中にあるアートビオトープ那須に
ご実家の皆さんとお別れし長男の車で向かう。
元々渡辺明氏が設計した有名な二期倶楽部があり
そこの経営破綻後、星野リゾートが買い取りリゾナーレ那須として再開、
二期倶楽部のオーナーが再度、アートビオトープ那須としてプロデュースしたもので
石上純也氏による水庭や坂茂氏によるコテージなどがあります。
二期倶楽部はあいにく宿泊者しか入れないということで
水庭を見ようと思いましたが、入館料が一人2900円と高く、
季節的に植物が十分ではないということで断念し、坂茂のコテージを見学することに。
建物は緩やかな傾斜地の等高線上に合わせ5~6棟ほどが配置されており
シンプルな片流れの形態をした建物です。
内部は80cmほどの段差があるスキップフロアで
外のグリッド格子は中から見ると光格子になっています。
テラス側の木製建具は3枚引き戸でフルオープンにすることができ上部には
スチールトラスによる構造梁がうまく納められています。
引き戸の内側にはタテ型ブラインドのラインがあり
手前の戸袋に収納されるようになっています。
(足もとのラインは空調吹き出し口)
小さなコテージながら手抜きされずにディテールがとても詰められており
さすがだと思いました。
格子側はベッドヘッドになっておりグリッドのひとつひとつにクッションが埋め込まれ
ベッドサイドランプも納められています。
開放的な浴室、すべての木建がフルオープンにすることができるようになっています。
また天井に設けられた換気扇も木製ガラリで隠されています。
さらに浴槽手前の排水溝にも蓋がされ見えないようになっています。
お風呂場のリモコンもモザイクタイルの割り付けに合わせ埋め込まれています。
洗面台の受け材として坂茂では有名な紙管がそれとなく使われています。
いまや世界的建築家となった坂氏ですが元々当初は住宅の設計を数多く手掛けていた為
この建物においては、外部空間へのオープンな繋がりとそれを支える周到なディテール
またそれ以外のきめ細やかなディテールなどを拝見させて頂き
とても参考になりました。
その後、板室温泉の宿泊先である大黒屋に向かいました。
大黒屋はこの地で400年以上続く老舗旅館で現在、17代当主となるそうです。
那須高原地帯では山裾に位置するためか、ちょうど桜が満開で見ごろでした。
いやー最高のシチュエーションに感激!
早速、露天風呂に浸かり2日間の疲れを癒させて頂きました。
我ながらスケジュールの組み方がうまくでき自画自賛!!